ヌーヴェルヴァーグ以後

ヌーヴェルヴァーグの勢いは、留まることを知らずに快進撃を続け、いつしかフランス映画
特有のものとして定着するようになりました。

一過性のブームで終わることなく、ゴダールやトリュフォーは、70年代以降も映画を
撮り続けました。

しかし一方で、ヌーヴェルヴァーグとは関係ないタイプの新しいものを撮る監督も多く
出てきました。

その中には、ジャック・ドワイヨンや、パトリス・ルコントなども含まれています。

ドワイヨンは、現在では「子役主演の映画を撮る監督」というイメージが定着していますが、
以前には、そもそも映画に子供が登場することはありませんでした。

シャルロット・ゲンズブールやジュディット・ゴドレーシュといった現在のトップ女優
たちは、少女時代にドワイヨンの映画に出演しています。

パトリス・ルコントは、「僕は争いごとが嫌いなんだ」とインタビューで語っており、
その人間性が映像によく表れています。

ルコントは、漫画制作に携わっていたことから、漫画にインスパイアされた表現を多く用い、
また内容は喜劇的なものを主としています。

従来の「アート」感覚の映画に比べると、随分内容が砕けた感じになっていますが、
時代には受け入れられています。

そして、ヌーヴェルヴァーグを担った人物たちも新たな表現方法を開拓しながら次々に
新作を出していき、ヌーヴェルヴァーグとヌーヴェルヴァーグ以外の映画への価値観が
混在する時代に突入していきました。

関連記事